【SS】ゆみみみっくすREMIX【レトロゲーム探訪記】

ゲーム感想ゲーム日誌レトロゲーム探訪記
タイトルゆみみみっくすREMIX
ハードセガサターン
発売日1995/7/28
ジャンルインタラクティブコミック
発売元ゲームアーツ
開発元ゲームアーツ
ネタバレレベル:冒頭とネタバレにならない程度の断片的な画像

ゲームについて

さて、今回は1993年に発売されたメガCD用ソフト「ゆみみみっくす」のセガサターン向けアップデート移植である「ゆみみみっくすREMIX」です。

本作は少女漫画家の竹本泉先生がキャラクターデザインだけでなく脚本や絵コンテなど、全体の構成に関わっており、公式自ら「竹本ワールド」と呼称する世界観が楽しめる…とのこと。
恥ずかしながら私は少女漫画は門外漢なのでその辺りは詳しくないのですが…。

開発はグランディアやガングリフォンあたりが有名そうなゲームアーツ。
この時代かなりいい仕事してる印象がありますね~。

セガサターンのソフトではありますが、先述の通り基本的にはメガCD版の移植なので…まあメガドライブにCDを付けてこんなのが遊べたのだな~と感じで見ていただければいいかなと思います。

ところでパッケージがやたらデカいのですが、これは販促に使用したイラストや設定資料をまとめた冊子が付属しているため。
紙パッケージは汚れやすいので…中古購入した段階でスリーブが若干汚い感じになってましたね。
これから購入する方は是非実物やショップの写真を見ていただくのが良いかと。

設定資料などは各キャラクターのものがきちんと掲載されており、かなり満足感のある内容。
もちろんネタバレ全開なので遊んでから見るように…しましょうね!(無敗)

やってみた

ブゥー——-ンビゥー——ンベゥー———–ン…(起動音)
セガサターンの起動画面…いい…。
というかこの頃、PS1,2,SS,DC,GCあたりのディスクメディアゲーム機は全体的に起動画面がいい…たまらん…。

ゲームアーツロゴ、ゆみみ仕様!

…からのテレビアニメちっくなオープニングがスタート!
セガサターンあたりのゲームでアニメーションを使用したゲームは特段珍しくありませんが、このゲームは何といってもアニメーションが「動画ではない」というのが特徴。
まあそもそもメガドライブのゲームなのですが。

どういう事?というと、要するに事前に用意されたムービーではなく、全編に渡ってドット絵を実際に動かしてアニメーションを作り出している…という非常に手間のかかったゲームなのです。
当時もイベントでビジュアルシーンがあるゲームは珍しくなかったと思いますが、小画面でなく全画面のアニメーションをフルボイスで…というのはめちゃくちゃすごいっす!
Wikipedia情報によるとなんと総動画数約7000…カット数800…らしいですわよ。

オープニング・エンディングテーマにはアイドル歌手の高橋由美子さんが起用されていますが、設定資料集によるとそれが決まるまでは竹本先生直々に作詞したテーマソングも考えられていたようで、実際に歌詞が掲載されています。
そちらのバージョンも聞いてみたかったですねえ(原作者作詞大好物マン)

オープニングを見終わるなり飛ばすなりするとメニュー画面に飛ばされるタイプ。
要するにタイトル画面が存在しないタイプ!
おまけはセガサターン版での追加要素ですね。こちらは後ほど。

メインストーリー

本作の主人公、吉沢弓美…どこにでもいる15歳の女の子!
寝起きにベッドからオチチャッタ!というところからスタート。

現代ならば字幕設定のひとつでもありそうなものですが、こちらは特に字幕もなく完全に音声だけでストーリーが進行していきます。
まあ声優の方々の演技が明瞭で聞き取りやすいので苦労することは無いであろう事と、逆に言えば全てに音声が割り当てられた完全なフルボイスという事でもあり…諸事情で無音プレイをしなくてはならない人以外には必要なさそうな感じ。
本当にアニメを観る感覚で楽しめます。

…といった感じで楽しんでいると、時々選択肢を提示されます。
どうやら目が覚めたのは目覚ましの10分前だった様子。

私は朝よわよわ人間なので当然寝ます。
実際は朝弱い人間ほど偶然目覚ましの前に目が覚めたら起きるのが望ましいとは分かってますが。
朝よわよわな上に意思よわよわ人間~。

目覚ましが鳴りました。
でも目覚ましというものはある程度余裕をもって起きられるようにセットしてあるはず。
限界を攻めましょう。

寝るっつってんだろ!!!!

と、謎の手がゆみみの背中に氷を…。非人道的…!

ママでした…当然起床…!
無理矢理にでも起こしてくれる人がいるというのはありがたい事…(遠い目)

という感じで、起きなかった場合はそれに応じたイベントシーンが見られるわけです。
素直に起きるともっと良いシーンが見られるかも知れないゾ!

掛け合いの愉快さもさることながら、各カットの構図も魅力的なんですよね。
竹本先生の絵コンテが素晴らしいのはもちろんのこと、ドットの描き起こしもめちゃくちゃよくできてますよね。

登場人物も増え…。
作風は少女漫画ですのでほんのりとした恋愛要素も出てくるわけですが、本当にほんのりと味付けとして入っている程度なので、苦手な人も気にならないレベルではあるのかな?とは思います。
まあ苦手な人が無理に手に取るゲームじゃないし、そもそも少女漫画ノリが楽しめない人はダメかもしれないですが。

ちなみに内緒じゃが、百合好きの諸兄らも安心だ!

かなり掻い摘んでますが、序盤の流れとしてははゆみみ自身や周囲で不思議なことが起こり、徐々に巻き込まれなんやかんやで当事者に…!という王道パターン。
しかし謎の散りばめ方が上手いのだ…。

そしてノリが面白い…。
少女漫画に詳しくは無いですが、私は90年代の漫画が好きなのでかなり刺さる絵柄とノリです。
あと声優さんの演技がすごい良いっす。

というか今更好き好んでセガサターン遊ぶようなのはこういうの好きでしょう?(暴論)
いや、もともとはメガドライブのゲームだけど!

オモシレ…オモシレ…

カッコヨ…カッコヨ…

オワタ…

…一気にやってしまいましたが!セーブ画面なんて最後で初めて見たぞ!
どうやらだいたい90分くらいで終わるように構成されているようです。
まさにアニメ映画を観た~くらいの感覚、そして満足感ですね。

エンディングではがきの宛先を掲載するのが何とも時代を感じます。
ちなみにゲームアーツ、今はこの住所じゃないみたいなので気を付けよう!

どうでもいいけどエンディングで歌が流れるのですが、
1番がキャスト、ちょうど2番に入るところで開発陣のクレジットに入るのがなんか好きでした。

ちなみに1周目は全く気が付きませんでしたが、選択肢が出ている時にBボタンを押すとセーブ/ロードが行えるので便利です。
説明書見ないと絶対分からないやつですよコレは。

一応マルチエンディングですが、分岐に影響する選択肢は終盤に固まっているので序盤は「別な展開を見てみるか」的な感じで気楽に遊んでいいと思います。
どの選択肢もちょっとした異なる展開が見られるので、色々選んでみると面白いですぞ。

ゆみみぱずる

それではセガサターン版で追加されたおまけモードである「ゆみみぱずる」についても少々。

STARTを選べば初めから、CONTINUEで続きからもできますがこちらはパスワード形式となっております。

さて、始まりました!
ルールは簡単!
上にカードが重なっていない、同一の絵柄を2枚選べばそのカードを取ることができるぞ!

例えば2枚の青い□の上にはカードが重なっていないので…。

2枚選択することでゲット!
という要領で全てのカードを取れればクリア。

…まあ、有り体に言ってしまえば「上海」ですよね。
麻雀牌が積み重なってるアレです。

カードを取るたびにちょっとずつ背景が鮮明になっていき…

クリアするとご褒美画像が解禁!
ボタンを押して次に進めば文字も消えますのでご安心を。

パスワードも表示されるので、これをタイトル画面のCONTINUEから入力すれば、この画像から再開できます。
解禁済みの画像を一覧できるギャラリー機能こそありませんが、とどのつまりパスワードを控えておけばいつでも見られるということですね。

ご褒美画像は本編で見たことあるものから完全描きおろしまで、なんと全40面!

後半になればなるほどカードの数も増え、単純に時間がかかるので…。
プレイ中はその場であまりゆっくり聴けない本編のBGMが流れますし、それを聴きつつのんびり進めるのが良いのではないかと!
一気にやったら5時間弱かかったぞ!

ちなみに本編で使われていた場面でも、手が加えられてちゃーんと綺麗になっているようです。
そもそもちょっと違ったりね。

最後までクリアすると次回作(後継作?)である「だいな♥あいらん」の予告イラストも…。

CDとして再生してみる

さて、セガサターンのソフトではおなじみ…。
CDとして再生すると出演者のメッセージや主題歌が聴けちゃいます。

1トラック目はゲームデータなので、
2トラック目にオープニング曲、3トラック目にエンディング曲、4トラック目に出演者の方々のメッセージが入っています。

再生する場合は、対応していないCDプレイヤーだと1トラック目で不具合を起こす可能性があるため、セガサターンで再生してしまうのがおススメ。
ディスクトレイを開いた状態で起動か、Aボタンを押しながらリセットでCDプレイヤーが起動しますので後はよしなに。

感想

良質なドット絵がゴリゴリ動く

散々語ってしまった気もしますが、やはりプレイしていて思うのはアニメーションのクオリティの高さ!
動画ではなくスプライトなので画面がクッキリキレイ!
ドットも竹本先生のテイストをバッチリ再現しており、雑な箇所も見当たらない出来です。

メガCDはメガドライブの周辺機器でありながら本体には無いスプライトの回転・拡縮に対応していますが、頼っている場面はほぼ無いようでした(完全に無いとは言っていない)
回転や拡縮を使うとどうしてもドットが荒れてしまうので、それを使わずにしっかり描き起こしているのがすばらしいところです。

基本的にコメディ、でも要所でしっかりなシナリオ

基本的な作風はコメディですので気楽に楽しめるシナリオとなっております。
コテコテの少女漫画ノリなので少々懐かしい表現が多めなのが魅力でもあり、そこが合わないという人がいるかもしれないというところ。

挟まれるギャグも秀逸なものが多いうえに、漫画とは違う「間」や「尺」をうまく使った表現も多く、この辺りでインタラクティブコミック体験を感じさせてくれます。

…という感じでゆるいはゆるいのですが、物語の核心に迫るシーンでは特に気合の入ったアニメーションが差し込まれるなど、ただただ日常パートが続くような気だるさは感じられません。
いや、日常パートが永遠に続くならそれはそれで需要がありそうな…。

マルチエンディング、でもそれに関わる分岐量は控えめ

少し触れていた通り、このゲームのエンディングはいくつか…というか3つあります。
ただし長い物語の中のいくつか選択肢によって分岐、というよりは終盤にとる行動によって分岐するという形なので、エンディング自体は終盤でセーブしておけば簡単に回収できるので楽ちん。

今後遊ぶ人は、ある人を助けるかどうかのところでセーブしておくと…幸せになれます。
私はノーセーブで駆け抜けたのでバッチリ2周ちょいしました。
…嘘でした。3択のところとかも全部選んだので3周はしてました。

という事でそこに至るまでの道中にある選択肢に関しては、本当に気軽に展開が見たい選択肢を選んでいけばOK!

周回の手間は多め

色んな選択肢を見るために周回を…という話をしていましたが、正直時間はかかります。

というのもスキップ機能なし!早送り機能も当然なし!
どうやらオリジナルのメガCD版ではコマンド入力で裏技扱いのスキップができた模様ですが、セガサターン版はないみたい?

ま、回収はながら見して初見のシーンだけ真面目に…という感じでいいんでない?

まとめ

解像度の上がりすぎた現代ではなかなか味わう事の出来ないドット絵のアニメーション、存分に楽しませていただきました!

全体的に文句のない出来だと思うのですが、一番のネックはやはり見ているだけの時間が長い事。
アニメや映画を観る感覚で、時間のある時にのんびりプレイすると超楽しいと思います。

だいたい1時間半くらいあれば1周してしまうボリューム感は物足りないと感じる場合もありそうですが、むしろ他のゲームよりも気楽にできるかも?
そもそもおまけの「ゆみみぱずる」を含めればそれだけで5時間くらい増えるからな!

機会があればこの系譜をまた遊んでみたいものです。

さよなら、さよなら~。

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