タイトル | アイドル八犬伝 |
ハード | ファミリーコンピュータ |
発売日 | 1989/9/14 |
ジャンル | アドベンチャー |
発売元 | トーワチキ |
開発元 | ナツメ |
ネタバレレベル:概ねAct.1まで、感想は特に制限なし
ゲームについて
お久し振りです。
今回はファミコンのアドベンチャーゲーム、アイドル八犬伝でございます。
他のハードに移植されていない上に出回っている中古の数も少ないようで、そもそも遊ぶハードルが高いような気がするこのゲーム。
そもそも内容的に移植できないと思うんですけど!
発売はクソゲーとして親しまれているファミコンの「シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件」を発売したことで有名なトーワチキ。
開発は後にメダロットを生み出すことになるナツメ(現ナツメアタリ)。
ストーリーを要約すると、
寿命を悟った西園寺家の当主は、3人の孫娘のなかで一番名を挙げたものに財産を譲ると宣言。
超エリートの姉2人に対して主人公である我らがエリカは歌がややできるくらいのミソッカス。
そんな時、乳母のミホによってアイドルへの道が示される…。
果たしてトップアイドルとして姉よりビッグな女になれるのか!?
…という感じ。
(暗黒イロモノ大王…?)
八犬伝の名の通り、主人公である西園寺エリカと7人の仲間たちが集結。
役に立つ奴からそうでもない奴までたくさんいるぞ!
全員色の名前が付いているのかと思ったらそうでもない…。
やってみた
タイトルを開くといきなりエリカちゃんが踊り出す!
なんかMVみたいになってる!
結構長いですこれ。
まずはACT1から!
ご覧の通り、章仕立てとなっております。
さてゲーム開始ですが…コマンドはいかにもアドベンチャーゲームといった感じのものから、エリカ自身の行動を示すものまでいろいろ。
なかまコマンドで仲間と会話することもできたり。
行動によってイラストがコロコロ変化するので見ていて楽しいですね。
そしてナレーションが辛辣!状況によってなじられ方のバリエーションも変化したりと結構豊富。
アイドルを目指すのだと言ってくる乳母さんから紹介された謎の男によると、
どうやらエリカは空前絶後のアイドルになれる逸材らしいです。
才能を開花させるために7人の仲間を集めよとの事。
このおじさん八犬伝好きなのかな?ちなみに私は読んだことないですが…。
そして謎の男の孫娘、1人目の仲間であるホシミちゃんが早速仲間になりましたとさ。
序盤はだいたい彼女に聞けば何とかなります。
なんやかんやで場所移動。
ちょっとこの辺からこのゲームの本性、その片鱗が見え始めるぞ!
このとおり、仲間にコメントを求めるとヒントを教えてくれます。
ヒントと言いつつ、ヒントをもらう前に該当の行動をしても何も起こりません。
エリカがちゃんと理解してないとダメなのですねえ。
とる→おかし
のように行動によって対象物が増えたり減ったりするので、膨大な選択肢から正解を引き当てる必要はありません。
選択肢が少ないので最悪総当たりでもなんとかなる優しさがあります。
仲間と会話しながら進めるので、一緒に行動している感が強くて楽しい…。
だいたい仲間の誰かだけがトリガーになっているうえ、無意味に話しかけた際の雑談も無いので、人数が多くなるとキーとなるキャラ以外は烏合の衆になるのだけど!
そして物語が進むにつれてこのゲームが本性を現し始める…!
うん。
うん…?
うん?
ううん??(※本当に歌います)
このように実際に歌唱するパートが存在し、BGMに合わせてメッセージが自動で進んだりします。
これが結構よくできているのです。
そして逐次投入されるツッコミ満点の展開、ツッコミ不在の恐怖。
トラブルはなんだかんだ歌でだいたい何とかなる。そんな世界観。
とはいえ歌に関してはエリカの生まれ持った才能というか、特殊能力のようなものなので多少強引に解決できてもおかしくはないのですが(感覚麻痺)
そして暗黒イロモノ大王…一体どんな奴なのだ…。
全体のノリは劇場版クレヨンしんちゃんとかに近いかも…。
章が終わるとパスワードが表示され、
ここから再開することができるようになります。
せっかくなのでお歌のまとめをどうぞ。
エンディングまで全部入りなのでネタバレ注意です。
ちょっと音小さかったかもな?
特に好きなのが1:42辺りからの手毬唄。
エリカのうろ覚えながらも楽し気な手毬唄…からの女の子のガチ手毬唄。
別に前者も稚拙なわけではないのに後半でガラッと雰囲気が変わるのすごくないですか?
感想
※以下Act.2以降の感想あり
遊びやすいアドベンチャーゲーム
まずこのゲームのイロモノ的な面を語る前に、システムの親切さについて。
バカゲーではありますがもちろんクソゲーではないですし、とてもよくできたシステムの上に成り立っている良バカゲーだと感じました。
先述の通り、このゲームは必要なものに対してのみアクションができるので、
例えば「とる」も普段は取るものが何もない状態なので、そんなとき無意味に「とる」ことをしなくて済みます。
仲間がヒントをくれる点も親切で、序盤は特に困ったときはとりあえず聞いてみようという気になります。
コマンドの使い方も「とる→すもう」「つかう→あたま」などセンスが光っていてGOOD。
一方ボリュームが少なめなのは好みが分かれるところかなと。
基本的に分岐はあまりなく、あってもゲームオーバー一直線のものばかり。
だいたい5時間あれば遊び尽くせるくらいかな?と感じます。
私はサクッと短くまとまったゲームも好きなのでむしろ好き。
一貫してブレないバカゲー
このゲームのノリは、徹頭徹尾バカゲーという言葉に尽きます。
プレイヤーは「そうはならんやろ」と思いつつその選択肢をとり、そうなっちゃった様子をまざまざと見せつけられることになります。
ただ、超展開ではあるものの絶対的に無理のある展開ではない、そうなるかな…なるのかも…という絶妙なラインを攻めてくるので、物語として破綻しているわけではないですし、見ていられないという事もあまりないと思います。
また、エリカの目標が一貫してトップアイドルであり、仲間もそれだけを目標にサポートをしてくれるので、大筋自体は真面目かつシンプル。
ただその手段がぶっ飛んでるだけなのだ。
ただ後半ちょっぴりお下品な展開もあるので人を選ぶというのはそれはそう。
くだらないギャグを笑い飛ばせる人向け。
豊富なグラフィックとテキスト
グラフィックにおいてはタイトル画面のダンスシーンから格の違いを見せつけてきた本作ですが、作中のエリカも表情豊かで、とても可愛らしいです。
立ち絵はもちろん、スチルのような絵が入ることも。
また、無駄行動にもナレーションが入るのですが、場面によって呆れられたり皮肉を言われたり。
ついついひとしきりコマンドを選択したくなってしまう魅力があります。
やはりアドベンチャーゲームはテキストに魅力があってほしいものです。
隠す気のないパロディー
このゲームが移植できない一番の理由だと思います。
アイドルを目指す過程で暗黒イロモノ大王を始めとしたイロモノ軍団と対立するという物語の性質上「イロモノ」な人物が数多く登場します。
そしてそれらが「元々正統派だった芸能人が、一時を境にバラエティ方面に舵を切った(切らざるを得なかった)人物」としてパロディされているのです…!
隠す気が無さすぎる…。
今ではいろんな意味でヤバくなってしまった…。
普通に罵倒…!
と、言うように良くも悪くもおおらかだった時代を感じることができます。
…当時は許されてたのかなあ…。
魅力的なサウンドと演出
途中挟んだ歌唱パートの動画を見てもらえれば分かるように、カラオケのように実際に歌える形で作られています。
ファミコンなので当然限界はある訳ですが、歌声や合いの手など、雰囲気がしっかり伝わってくるクオリティ。
電波な感じがめちゃくちゃ頭に残ります。(いいのか?)
歌以外のBGMも場面ごとに豊富に用意されていて、使い回しの印象はほぼありませんでした。
まとめ
以上、アイドル八犬伝でした。
プレイするのはかなりハードルが高い本作ですが、とてもよくできたゲームだと思うので魅力が伝わればうれしいです。
全体的に親しみやすい雰囲気なので、リファインすればそれなりに人気が出そうな気がしますが…。
毒もこのゲームの魅力なのでどこまでそれを和らげてしまうのかは難しそうな印象です。
なぜか2010年代になってから当時の制作者がCDを制作・販売していたり、ノベライズもされており、ファンからも制作者からも愛されているようです。
制作者から長年愛されるゲームというのは素晴らしい事です。
ちょっと変だけど愛嬌があって親しみやすい、まさに主人公のエリカを体現するようなゲームでした。
ではまた…ありがトーワチキ!
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